Book Review - ■■五里ム中■■

読んだ本の感想、使った参考書の使い心地などを紹介しています。

参考書

[参考書]「TOEIC公式ガイド&問題集―日本語版」 E.T.S. [amazon]

「TOEIC公式ガイド&問題集―日本語版」

TOEICの公式ガイドブック。 TOEICの過去問を見ることが出来る唯一のシリーズ。

TOEICを“知る”ことを目的に作られた、参考書です。
・TOEICとは何か。
・勉強は何をするべきか。(当たり前の事ばかりですが)
・どのような問題が出るのか。
・試験はどのような進行か。
などなどが書いてあります。

問題集としてはTOEICの過去問400題が収録されています。 (そのうち70問がTOEICミニテスト、200問がTOEIC練習テストという両方とも 模擬試験のようなもの。残り130問は問題の種類別に整理された問題集。) 全て過去問で、各セクションのDirectionやSample Questionは本番と全く同じ。 リスニングで受験者に指示をするアナウンスも本番と全く同じものです。

解答・解説に和訳がついていないという点は好みが分かれるところかも知れません。 和訳をつけるのがめんどくさかっただけかも知れませんが、 ひょっとしたら、「いちいち和訳しながら英語を読むな」という読者へのメッセージかも(笑)。 (個人的には和訳の必要性は感じませんでした。) 解説もオマケ程度についているだけなので、 自分が間違ってしまった問題の解答・解説を読んで 「あぁ、そう言われてみればそうだったな…」 と思えるくらいの英語の力はあった方が良さそうです。(語彙問題を除く)

全体的に“ガイドブック”の側面が強く「この本をやったから英語の実力がつく」 という類の物ではありません。 ただし、TOEICを初めて受ける人には是非おすすめしたいです。 本番前の問題研究に大変役立ちます。 分量も1週間弱、時間がかかったとしても2週間あれば終わる量だと思います。(たぶん)

なんとなくTOEICを受けたくなって、なんか参考書やっておきたいなぁと思った人(誰のこっちゃ) は、コレ1冊をサッサカやるだけで良いのでは?

サイズ:A4変形版
(Last-modified:2003/7/7)

小説

[小説]機本伸司「神様のパズル」角川春樹事務所 [amazon]

「神様のパズル」

卒業ゼミに素粒子物理学研究室を選択した留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、 不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題。 なにしろ穂瑞ときたら、精子バンクを利用して生まれた天才児で、 建設中の巨大加速器「むげん」の発案者でありながら、 その天才さゆえに大学側も持て余し気味という問題児なのだから。 案の定、僕を鼻であしらう穂瑞だったが、一人の老聴講生・橋詰さんの発した究極の疑問 「宇宙を作ることはできるのか?」をぶつけてみたところ、 なんとそれを討論テーマとしてゼミに現れたのだ!  僕は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないことになるのだが……。

「宇宙の作り方」という壮大なテーマを、みずみずしく軽やかに描き切った大型SF!

(「神様のパズル」帯)

第三回小松左京賞受賞作。ジャンルはSF。全編日記形式。
「宇宙は"無"から生まれた」
「すると人間にも作れるんですか?無なら、そこら中にある---」

この言葉から始まり、最後まで“宇宙の創世”で一貫したストーリー。

難解な用語も出てきますが、落ちこぼれ大学生の主人公が 至る所で「理解できない」と言っているから、理解できなくても良いのでしょう(笑)。 ただ、理解できればさらに面白い事は言うまでもないです。 (クーロン力の式とか万有引力の式程度のことを知っておくと、細かい会話や問答も楽しめます。) 高校程度の物理を学んだことがある人なら、穂瑞が所々で発する問いの一つ一つが、 自分の感じたことのある疑問と重なるのではないでしょうか。

穂瑞は自分の疑問として、「何故質量は、エネルギーと等価なのか」と黒板に書いた。 あの有名な方程式は何度も見て知っているが、イメージできないというのだ。 エネルギーがどうやって質量に変わるのか。またその逆は。 そもそも、エネルギーとは何なのか……。 これは、エネルギー、質量双方の本質が分かっていないということだと穂瑞は言った。

さらに彼女は、黒板に“光”と書いた。何故光子には大きさがないのか。 重さがないのか。何故光速は不変なのか。何故光速は超えられないのか……。

こうしてみると、物理というのはちょっと突っ込んだだけで、分からないことが実に多い。 右ネジの法則一つにしても、何故“右”なのかと聞かれるとよく分からないのである。

「これらはみんな常識だと言ってもいい。“こうなっている”ということは、誰でも知っている」 穂瑞は黒板を指さしながら言った。「しかし、何故こうなるのかは説明できない。 “そういうもの”と言ってしまえばそれまでだが、何故そういうものなのか、理由があるはずだ」

(同書、p118)

まさにその通り。 個人的なことですが…常日頃疑問に思っている事が、遠慮無く並べてあって小気味よかったです(理系なので 笑)。 SFとはいえ、物理学の理論で作者が創作したものは、最後の理論と、他に少しだけ。 現代物理学では解明できていない部分を作者が“仮定”した形で、 現実には無い理論が出てきても、ストーリーが全くの別世界にぶっ飛んでいる訳ではありません。 そういう意味ではリアル。

天才が物理を突き詰めていき…、主人公は何故か婆さんと田んぼで農作業(笑)。 しかし、そこでは、宇宙はどうやって作られたのか。 人間は何故生きているのか。 この2つの“究極の疑問”が触れ合い、物理なのに妙に人間臭い。

主人公と穂瑞があまりにも以心伝心すぎたりして、 読んでる方がついていけなくなる箇所も若干ありましたが、 「宇宙の創世」という問いに向かって進んでいくストーリーはスピード感溢れ、 結局ノンストップで最後まで読み切ってしまいました。 知的エンターテイメントとでも言いましょうか。(笑)

サイズ:四六版(127X188)
(Last-modified:2003/7/18)

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